【Web限定企画】先生はどんな人?第2回 後藤みわこ先生

  • 公募ガイドから

2020.09.23

第2回は「はじめての童話講座」や「童話公募必勝講座」で
講師を務める後藤みわこ先生。デビュー前の公募生活や
童話執筆の考え方などをインタビュー!

 

後藤みわこ(ごとう・みわこ)
第一子誕生を機に童話創作を始め、童話賞での入選は20回を数える。その後、第17回福島正実記念SF童話賞を受賞してデビュー。現在同賞の選考委員を務める。『カプリの恋占い』『Hは寝てまて』『ボーイズ・イン・ブラック』『秘密の菜園』など著書多数。
 

 

公募時代の縁がすべて今につながっている

デビューまでに100篇は書いた
――『カプリの恋占い』シリーズ『ルルル♪動物病院』シリーズなど、数々の人気児童文学作品を執筆されていますが、最初は少女小説への公募から始められたのですよね?
子供の頃からずっと少女小説が好きでたくさん読んでいました。今でいうライトノベルですね。だからこういうのが書けたらいいなと思い、コバルト文庫やスニーカー文庫の公募に出し始めました。たくさん出すうち、たまに小さな賞をもらえるようになった。そんな公募生活をつづけながら、結婚後は標語やキャッチフレーズ、懸賞とかも応募していました。田舎に嫁いだので、当時『公募ガイド』は近所の書店やコンビニに置いてなくて、手に入れるのがすごく大変でした。置いてある本屋まで、主人に車で連れて行ってもらい、購入していたんですよ。
『カプリの恋占い① 春風のネックレス』
(岩崎書店・2008年)
 
――童話はなぜ書くようになったのですか?
打算的ですが、そのうちに童話は賞金が結構いいことを知り……。(笑)応募するようになりました。でも、書いては落ちてが続き、これは勉強しないといけない!と気が付いた。そこで、通信講座を受けたり、公募ガイドの童話の書き方の特集記事や連載を読んで勉強しました。
――当時、お子さんがいて家庭のこともしないといけない中で、いつ書いていたのですか?
最初は子供を寝かしつけてから書こうとしたんですが、なかなか寝てくれず難しい。そこで、子供が寝ている間に書くのは諦め、一緒に寝て私だけ4時に起きて書くことにしました。早朝なら静かで誰にも邪魔されない。寒い朝は前日からポットに熱いお茶を用意しておいて、一人の時間を作り書いていました。
――デビューまでに100篇、1万枚以上は書かれたとか。途中で挫折しそうになりませんでしたか?
「数打てば当たる」を狙ったんですが、なかなか当たらない。でも、その分とにかく数だけは自慢できるくらい書きました。だから、挫折はないけれど、次々書いて出すので、次のアイデアが出なくて、もう二度と書けなくなったらどうしようという思いはありましたね。
――プロの童話作家を目指したきっかけは?
童話の賞を少しずついただけるようになり、授賞式に呼ばれた時はうれしいのですが、次につながるわけではない。それが寂しくて、じゃあ書き続けるにはプロになればいいんだと思った。そこから、新人賞と呼ばれるものに出すようになりました。娘が幼い頃から書き始めて、小学校3年生の時に福島正実記念SF童話賞を受賞してデビューできました。
第17回福島正実記念SF童話賞大賞作品
『ママがこわれた』
(岩崎書店・2000年)
 
――デビュー後はとても順調に執筆されていますね。
デビュー1年目に3冊出しているので、周りからは順調ですねと言われます。でも、実際にはその何倍も作品を出してボツを受けているんですよ。ただ、恵まれていたのは、いろんな賞を取り、授賞式で仲良くなった受賞者と交流するうちに、コンペ情報を教えてもらえたり、最終選考で落ちたものを編集者が覚えていて、出版の依頼をくれたりしたことです。公募時代につながった縁にとても助けられて今がある。それまで、落ちたものは意味がないと思っていたけれど、応募し続けて本当に良かったと思います。
――童話を書く人が陥りがちなパターンは?
自分が昔読んだイメージのままの童話を書いてくる人が多いですね。内容や書き方が昔話風だったり、森に動物が住んでいて、喧嘩もするけど仲良くなり、最後にみんなでお茶会をするとか……。また、その日家庭であったことや孫の自慢話を書く人も多い。エッセイや日記ではないのに、読者がいることを意識して書けていない人も多いですね。

子供が読める小説だと考える
――ありきたりなパターンを抜けだすコツは?
童話には、日常を舞台とした生活童話と、架空の世界を舞台とした空想童話がある。童話だからといって必ずしもファンタジーにする必要はない。たとえばドラえもんのように、日常の中にちょっと違った世界や道具が出てくるだけでもいい。私も最初は童話イコール空想の世界と思っていたけれど、無理に空想を広げなくても、日常から発想を得て、それを子供が読める小説として書けばいいんです。
『黒まるパンはだれのもの?』
(あかね書房・2004年)
 
――身近に子供がいない方が、子どもが喜ぶ童話書くにはどうしたらいいでしょう。
子供を作品で笑わすのはプロでも難しく、直接くすぐった方が早い。(笑)でも、誰にでも子供時代はあるから、それを思い出すといい。自分の子どもに聞かせたいから書く人もいますが、私は逆に子供には聞かせないんです。子供ってお母さんが言うと何でも喜ぶので、これに甘えたらだめだと思うからです。
――書き方や内容で特に気を付けることはありますか?
子供のサイズ感は大事です。年齢により目の高さや感覚が違う。走るとか塀を乗り越えるとか、大人なら大変でも子供なら簡単にできることがある。また、小学校の中学年向けなのに、大学のSF研究会の人が読みそうな内容を書いてくる人もいる。わかること、興味のあることも違うので、読者の年齢は必ず意識したほうがいいです。
――公募に通る作品の条件はあるのでしょうか?
まずは、文章がうまいこと。そして、題材の新鮮さや、逆に今までいろんな人が書いてきた題材を、今までにない面白さで処理しているなど、何か驚きが欲しい。また、児童文学は主人公の成長と変化が求められるので、そういう要素があることも大事ですね。
――先生おすすめの作品や読書法があれば教えてください。
古典ももちろん大事だけれど、現代の活躍する作家の作品を読むといい。そうすると、こんな童話もあるんだと視野が広がる。小さい子供向けなら、村上しいこさんとか、北川チハルさんとか、深山さくらさんとか、おすすめです。
『れいぞうこのなつやすみ』村上しいこ
(PHP研究所・2006年)
 
――最後にメッセージをお願いします。
みなさんが、何に迷っているのか知りたいので、質問票も気兼ねなく書いてください。書きたいアイデアは決して否定せず、そのアイデアをどう良くしていくかという添削を心がけていますので、こんなの書いたらだめかな?怒られるかな?とか気にせずに、どんどん出してくださいね。

■後藤先生の担当講座はこちら!
原稿用紙5枚の童話を完成させましょう!(全6回)
子どもが楽しめる作品の書き方を学ぼう。
童話の公募で受賞しましょう!(全6回)
数々の童話公募を総なめにした後藤先生に教わろう。
コンテストの選考委員も務める後藤先生がアドバイス!
書き上げた童話や児童文学をブラッシュアップしよう。
取材:岡田千重
(おかだ・ちえ)
フリーランス・ライター フリーランス・ライター 。広告物の企画・ライティングの経験を経て、2003年より映像系クリエイターにインタビューをするようになる。現在は月刊公募ガイドでも作家のインタビューを手掛ける。2012年、1000字シナリオコンテスト最優秀賞受賞。2013年度より、シナリオ・センターにて講師およびシナリオ添削を担当。公募スクールではじめてのエッセイ講座を担当。
はじめてのエッセイ講座