阿刀田高のTO-BE小説工房 佳作「キラキラネーム批評」嘉島ふみ市

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2020.04.09

第61回 阿刀田高のTO-BE小説工房 佳作「キラキラネーム批評」嘉島ふみ市

本日も、ご子息の命名に悩まれている親御さん達から「この名前どうでしょうか」という質問を多数お寄せいただいておりますので、お答えしていきたいと思います。

光宙(ぴかちゅう)
・有名キャラクターからの拝借と思われますが、非常に安易であり、またキラキラネームとして市民権を得てしまった名前であることもあり、現代ではむしろオリジナリティーに欠けます。奇をてらったはずの名前でありながら、キラキラネームとして代表的という矛盾を孕んでいる状態です。ご両親がご子息の命名により、それ自体で個性を出そうと考えたのでしょうが、今の時代では逆効果と言わざるを得ないでしょう。
また、ご子息が学校に通う年齢になると、間違いなくクラスメイトから「鳴いてみろよ」などと、からかわれることになると考えられます。その際、ご子息から「どうして、この名前にしたの」等の質問がなされるかもしれません。その時のため、予め「宇宙の暗闇のような中でも、光輝けるようにだよ」というような言い訳を、いくつか用意しておいた方がよろしいと思われます。

悪魔(あくま)
・クラシカルなキラキラネームと言えるでしょう。以前に、この名前を命名しようとして、社会問題になったこともあり、現在、ご両親が望んでも使用することは、ほぼ不可能です。
古代から人は、恐ろしいと思われるものを、忌避するのではなく逆に肯定し、崇拝することによって、その恐怖から逃れるという方法をとってきたという実例もあります。なので、恐ろしいと思われる存在の名称をご子息に命名することによって、その恐怖をポジティブに昇華しようと考えたのかもしれませんが、おそらくご両親はただ『かっこいいから』という浅薄な理由で命名しようとしたと思われます。
またここまで異質な名前ですと、ご両親の見識も疑われることになりかねません。親戚の方々の意見なども聞き入れ、再考をお勧めします。

綺帝(きてぃ)
・こちらも著名なキャラクターの名前を拝借したものと思われますが、女の子の名前を既存のキャラクターからつけるとなった際、かなり早い段階で思い付く名前だと思われます。なので、キラキラネームではありますが、非常にオーソドックスと言えるでしょう。
以前に挙げた光宙さんとは違って、キャラクター自体の人気が長期間に渡って安定していること、それがこれからも永続することが考えられるので、古く感じられることがない点が評価できます。
ただ、キャラクター自体、全国のお土産屋やサービスエリアで大量に見かけますので、その度に、ご子息が友人に揶揄されることになるのは、覚悟した方がいいでしょう。

紗音瑠(しゃねる)
・ご両親、特にお母様の趣向が全面に出てしまった名前だと思われます。非常に華やかな名前ですが、ご子息の性格、容姿と上手く合わなかった場合のリスクが大きいです。
ご子息の将来の就職先として、アパレル関係、服飾関係、ショップ店員等への就業の難易度が上がってしまうと思われます。命名によって、ご子息の将来の活動に制限がかかるようなことは、できるだけ避けるようにした方が良いでしょう。

黄熊(ぷう)
・非常に斬新で、新しいキラキラネームと言えるでしょう。黄熊と書いて当て字で『ぷう』と読ませるセンス、ご両親の尋常ならざる発想に驚かされます。感服せざるをえません。
しかし、ご両親の意図とは違い、無職とキャラクターの名前のダブルミーニングとなってしまっています。
また、さん付けされるだけでからかわれてしまうという、希な名前であり、ご子息への負担が大きいと思われます。

総括:今回、非常にアグレッシブな名前が多く、楽しませていただきました。キラキラネーム全般に言えることですが、幼年の時は違和感は少ないかもしれませんが、青年、中年、老年と年齢を経るごとに厳しくなっていきます。ご子息の将来を考え、長期的な視野を持って命名しましょう。

(了)