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あなたとよむ短歌 vol.1「分かち書き」をやめてみる

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  • 川柳・短歌・俳句

2020.04.09

vol.1
「分かち書き」をやめてみる

こんにちは。はじめまして。柴田葵です。

連載『あなたとよむ短歌』がスタートしました!
公募に応募したものの入選を逃した短歌を投稿していただき、皆さんで一緒に読んで・詠んでいくコーナーです。

ところで、現代の短歌に「制約」はありません。季語も必要ありませんし、57577のリズムから外れた短歌も多くあります。
1日に1首詠んでも、100首詠んでも、3年休んでも、誰かに見せても見せなくても構いません。自分だけの言葉として日記に書き留めるのも、結社やカルチャーセンターで学ぶのも、どれも短歌との向き合い方のひとつです。

けれども、公募に応募するからには、やっぱり「入選したらいいな」という気持ちがあるはず。
私もさまざまな公募にチャレンジしてきたので、そのワクワク感はとてもよくわかります。自分の名前と作品が載ったときの、頭が真っ白になる感じ。私は昨年、第一回笹井宏之賞という公募で大賞を受賞し、その副賞として歌集『母の愛、僕のラブ』を出版していただきました。受賞の連絡や授賞式に加え、自分の本が店頭に並んでいるのを見たときには、頭が真っ白になるどころか透明になりそうでした。

入選するということは、誰かに読んでもらって評価されるということです。そこには、いくつか気をつけたほうがよいポイントがあるような気がします。
この連載が、なにかしらのヒントになりますように。
それでは、今回の短歌はこちらです!

よくしゃべる 君の聞き分け 今日は良い なぜだか不安な 朝のはじまり
(健吉さん・第1回令和相聞歌応募作・テーマ「恋」)


第1回令和相聞歌は、前回まで平成相聞歌という名称で募集をされていた公募です。「相聞歌」は、恋について詠んだ短歌のこと。初恋でも悲恋でも、恋の内容は問いません。
健吉さんの作品は「朝のはじまり」にふと「君」の様子が変だと気づく、というシーンを描いたもの。妙に聞き分けの良い「君」。それだけなのに「なぜだか不安」になる……この些細な変化、短歌の着眼点として魅力的です。相聞歌というテーマにもぴったりだと思います。「聞き分け良い」という語のチョイスには、ふたりの関係性を感じます。

せっかくの力作。入選に近づくには、どうすれば良いでしょうか?
見直す際の、オススメポイントをご紹介します。

まず『57577の間にスペース(空白)は不要』です。これは「分かち書き」という表記方法です。短歌の音数が数えやすくなり、短歌を読み慣れない方にも「これは短歌だ」と認識されやすくなるため、主催者のWEBサイトやチラシ、公募ガイドの誌面でも必要に応じて採用されています。小学校低学年の国語の教科書も、文章を読みなれない子供のために「分かち書き」になっています。
ただし、応募者が作品を作る際に、最初からスペースを空ける必要はありません(募集要項で指定があった場合は別です)。「分かち書き」はあくまで、なんらかの都合で視覚的に認識しやすくするための、やむを得ない手段です。

というわけで、健吉さんの作品の「分かち書き」部分のスペースを取ってみました。

よくしゃべる君の聞き分け今日は良いなぜだか不安な朝のはじまり

分かち書きの時にはあまり気になりませんでしたが、つなげて書くと少し読みづらさがあります。特に上句(前半)の「よくしゃべる君の聞き分け今日は良い」の部分は、助詞の省略などもあってぎこちない印象です。「分かち書き」で短歌を考えると、どうしても句ごとにブツ切れになってしまうもの。最初から「分けないで書く」と、全体の流れを見直しやすくなります。

健吉さんの作品をできるだけそのままに、少し自然な言い回しにするとしたら、例えば以下のような感じはいかがでしょうか。

よくしゃべる君が聞き分け良く笑うなぜだか不安な朝のはじまり

さらに、一箇所だけスペースを入れてみました。

よくしゃべる君が聞き分け良く笑う なぜだか不安な朝のはじまり

スペースは「分かち書きのために」入れるのではなく「作品のために」戦略的に入れるのが◎です。
この場合、スペースを入れることで、「君」に対峙する「自分」がふと我に返る「間合い」のような効果も出ている気がします。
機嫌よくペラペラと喋りながら、聞き分け良く、こちらが何を言っても笑顔で頷いてくれる……何があったんでしょう。不安ですね。恋をする相手でなければ単なるごきげんな朝かもしれませんが、これは相聞歌。作品の魅力が最も伝わる言葉のつながり方を探すのも、短歌を推敲する面白さかもしれません。まずは、短歌を書いてみるとき、もし57577の音数を数えるのが苦手でも「分かち書き」をしないのがオススメです。スペースは基本的には使いません。使うときには、効果を狙ってバシッと使いましょう!

いかがでしたでしょうか?
引き続き、一緒に「読む・詠む」短歌を募集中です。コンテストだけでなく、新聞歌壇、雑誌投稿からもお待ちしています!

 
■講師プロフィール
柴田 葵 1982年、神奈川県生まれ。元銀行員、現在はライター。「NHK短歌」や雑誌ダ・ヴィンチ「短歌ください」、短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」への投稿を経て、育児クラスタ短歌サークル「いくらたん」、詩・俳句・短歌同人「Qai(クヮイ)」に参加。第6回現代短歌社賞候補。第2回石井僚一短歌賞次席「ぺらぺらなおでん」。第1回笹井宏之賞大賞「母の愛、僕のラブ」。
応募要項
応募規定 ペンネームと、入選を逃した公募タイトル・応募した作品・お題やテーマ(ある場合のみ)をお送りください。
応募方法 応募フォームもしくはTwitterでご応募ください。Twitterの場合は公募ガイド公式アカウント「@kouboguide」をフォローして、ハッシュタグ「#あなたとよむ短歌」をつけてツイートしてください。
採用1点=公募ガイドONLINE上で講評・アドバイス
締切 常時募集
 
 

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