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あなたとよむ短歌 vol.10 内容と構造をマッチさせよう

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2021.01.09

あなたとよむ短歌
vol.10
内容と構造をマッチさせよう

あけましておめでとうございます。柴田葵です。

投稿してくださる方、読んでくださる方のおかげで、連載も10回目となりました。
まだまだ人と会うのも難しい状況ですが、年始のチャレンジとして短歌を応募するのはいかがでしょうか。
それではさっそく「公募に応募したものの入選を逃した短歌作品」を、一緒に読んで・詠んでいきましょう!

花束を抱えて走っていたらしく出会い頭に愛の襲来
(からすまぁさん/うたの日)


今回のからすまぁさんの短歌は、鮮やかなシーンが目に浮かぶドラマチックな作品です。
「花束を抱えて走っていた」人とぶつかる。鮮やかな花だったのか、はかなく淡い花だったのか。
そしてそれは「愛の襲来」だった。襲われるように抗えない「愛」の始まりだったんでしょう。

「愛の襲来」というインパクトのある言葉に加えて、注目すべきは「らしく」だと思います。
「花束を抱えて走っていた」と咄嗟に判断しきれない、その慌てた気持ち、ぼんやりとした夢のような高揚感を「らしく」という言葉が表しています。

素敵な作品ですが、ドラマチックな内容に対して、一首の構造が少し冷静なような気もしました。
「花束を抱えて走っていた」から「出会い頭に愛の襲来」が発生した、という【説明→結論】の構造は、理解しやすく、安定感があります。
この作品の運命的な衝撃を読者に体感してもらうには、あえてその安定感を壊すのも手かもしれません。

出会い頭に愛の襲来 花束を抱えて走っていたらしく

ということで、まずは情報の順番をひっくり返しました。
まさに、文頭=「出会い頭」に「愛の襲来」がくる形です。インパクトのある言葉に、この作品を読む人も「何だ?」と驚きます。ここに体感が生まれます。

一方、悩ましいのが、短歌の定型としては5音であるべき初句が7音になってしまう点です。
初句に限らないのですが、定型の音数(57577)を崩すことは禁じ手ではありません。特に、1音余るケースは名歌にも多くみられます。
2音以上余らせることも、音が足りない字足らずも、もちろん不可ではないのですが、よっぽどの狙いや確信がなければ、まずはできるだけ定型を意識するのが上達への道だと言われています。

定型を意識しつつ、何パターンか考えてみました。

事故のごと愛の襲来おそらくは花束を抱いて走った人と
曲がったら愛の襲来おそらくは花束を抱いて走った人と
不躾に愛の襲来おそらくは花束を抱いて走った人と

まず、初句を5音にする案を考えました。
「事故のごと」の「ごと」は「如く」が短くなったものです。クラシックな表現で好みが分かれそうですが、「愛の襲来」という重量感のある言葉の前にくると、意外としっくりくる気がします。
「曲がったら」は(道の曲がり角を)が省略されています。思い切った省略だからこそ、スピード感が出る気がします。
「不躾に」はどうでしょう。唐突さや、こちらの都合などお構いなしの荒々しさが出るかと思います。

次に、残りの577で「花束を抱えて走っていたらしく」を表現します。 歌のポイントになっていた「らしく」の要素を「おそらくは」にして前に持ってきました。
また、「抱えて」を「抱いて」に変えました。音数を削れるだけでなく、ロマンスに対峙する肉感と情感が得られそうです。

いかがでしょうか。
音数が限られる短歌。言葉の意味だけでなく、構造から大胆に考えるのも面白いかもしれません。

引き続き、一緒に「読む・詠む」短歌を募集中です。コンテストだけでなく、新聞歌壇、雑誌投稿、WEB投稿の短歌(投稿できなかった短歌)もお待ちしています!

 
■講師プロフィール
柴田 葵 1982年、神奈川県生まれ。元銀行員、現在はライター。「NHK短歌」や雑誌ダ・ヴィンチ「短歌ください」、短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」への投稿を経て、育児クラスタ短歌サークル「いくらたん」、詩・俳句・短歌同人「Qai(クヮイ)」に参加。第6回現代短歌社賞候補。第2回石井僚一短歌賞次席「ぺらぺらなおでん」。第1回笹井宏之賞大賞「母の愛、僕のラブ」。
応募要項
応募規定 ペンネームと、入選を逃した公募タイトル・応募した作品・お題やテーマ(ある場合のみ)をお送りください。
応募方法 応募フォームもしくはTwitterでご応募ください。Twitterの場合は公募ガイド公式アカウント「@kouboguide」をフォローして、ハッシュタグ「#あなたとよむ短歌」をつけてツイートしてください。
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締切 常時募集
 
 

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