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高橋源一郎の小説指南 小説でもどうぞ 第9回結果発表

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  • 文芸

2022.07.15

イラスト:福士陽香
■選考委員/高橋源一郎

1951年、広島県生まれ。81年『さようなら、ギャングたち』でデビュー。
小説、翻訳、評論など著書多数。日本のポストモダン文学を代表する作家。

募集中のテーマ

■第12回 [ 休暇 ] 
7/1 ~ 7/31(消印有効)

■第13回 [ あの日 ] 
8/1 ~ 8/31(消印有効)

※募集期間外の応募は無効になります。

第9回結果発表
課 題

冒険

びっくりしました。はっきりいって、いままででいちばんおもしろい作品が集まりました。予選を通過した作品の半分以上が、これまでなら最優秀賞だったかも。たぶんテーマが良かったのかな。もう一度やりましょうか。

最優秀賞
「マジ勇者」
樺島ざくろ

 どれもおもしろかったけど、最優秀賞は、樺島ざくろさんの「マジ勇者」。これはもう完璧以上の作品でした。まずこんな始まり。「冒険が終わりに近づいている。勇者と呼ばれるようになって一年余り。私にとっては長い旅だった」。
 おお、ゲームでよくある「勇者たち」の冒険旅行なのか。そう思うでしょ。ぼくもそう思いました。ところがなんと……。ちょっと予想もつかない展開。そして、またよく読んでみると、これこそが真の「勇者たち」の冒険ではないかと思えてくる。最高です!

佳作
「ムムカカ」
烏目浩輔

 烏目浩輔さんの「ムムカカ」。「疏水べりを歩いていると声をかけられた。『もし、そこのお姉さん』」。声をかけたのは「二人乗りのカヤック」に乗っている河童。天気のいい日だから、カヤックで出かけようと河童は誘う。もちろん(?)、「私」は河童と出かけるのだ。なんだか楽しいなあ。「海」の直前、河童は止まる。海に出ると何が起こるかわからないから。「怖いです。でも、ムムカカです」と河童はいう。なにそれ? 「ムムカカ」は古い河童語で、人の言葉でいちばん近いのは「冒険」なのだとか。そういうわけで、私は海に出かける。「ムムカカ」!


 稲尾れいさんの「オジャマムシ」。民宿に着いた「ルリ」ちゃんは、うろつき回って「別の部屋のベランダ」へ。カーテンの向こうでは「ジーンズをはいた脚が四本」じゃれ合っている。そのカーテンが開いて、男の人が「ニヤリと笑い掛けているような、怒っているような顔」で、こういった。「オ・ジャ・マ・ム・シ!」。翌朝、民宿の玄関脇の車の中から、男の人が「おはようさん、お邪魔虫ちゃん」。女の人が優しく「ごめんね。バイバイ」。ちっちゃな「ルリ」ちゃんの、大人に向かう冒険の始まりだったのかな。素敵。

「山へ」
藤野寝子

 藤野寝子さんの「山へ」。「男」は山へ出かける。「春は山菜の季節」だから出かける。夏だって出かける。「今日の目当ては山に自生する枇杷の実」だ。どんなふうに山に入り、どんなふうにその中を進んでゆくのか。藤野さんは、ほんとうに美しく、瑞々しく、描写してゆく。読んでいて、うっとりするくらいに。ああ、なんて山歩きは素晴らしいんだ。そこから一転、どうやら病室らしいところに「男」はいる。なにが起こったのか。そこから先は、胸にグッと来る展開だ。なるほどあの描写はそのために必要だったのか。

「車中にて」
藤野はるい

 藤野はるいさんの「車中にて」は、ちょっと不思議な小説。「急に東京に住む孫に会いたくなった」「房枝」さんは、早朝の列車に乗る。すると「発車間際に、男が列車の前のドアから入って」来ると、「房枝」さんの隣の席に「どっかと腰を下ろ」す。ふつうの人ならちょっとイヤかも。でも、堂々たる「房枝」さんは、「男前だこと」と思うのだ。その「男」との車内での短い、ちょっと心温まるエピソード。えっ、どこが、「冒険」なの? 実は、この「男」から渡された名刺を見ると……。なるほどね!


 深谷未知さんの「恋の終わりに」は、とても小さな冒険を描いた佳編。「早咲きの桜や、梅があちこちに見られ、見事に咲き乱れている」、まだ薄ら寒い日に、「私」は、小さな旅に出る。「祐也」と別れた、その傷心を癒やすためだ。なんだか鬱々とした気分。その理由はわかっている。「そんなに傷ついてもいない」からだ。ほんとうは、そんなに好きでもなかったのだ。ほんとうの傷心旅行だったら良かったのに。人間って難しい。でも、やっとほんとうの冒険ができるような気がするのだ。いや、実に繊細な小説でした!


 齊藤想さんの「桃太郎」。もちろん、中身は、あの「桃太郎」。ちょっとちがうのは、お遊戯の演目だったからです。ほんとうは、ふつうの「桃太郎」のはずだった……なのに、園児たちが「キジより七面鳥がいい」とか「犬よりアルパカがいい」とか「サルより、サルにそっくりの園長先生がいい」とか「鬼たちがかわいそうです。ぼくは戦争反対です」とかいうので、すっかり中身が変わっちゃったじゃないですか! いやあ、すごいですね、この「桃太郎」。ぼくは、齋藤版の「桃太郎」の方が好きですよ。


 吉田猫さんの「橋の下の旅人」の「僕」は「子供の頃に途轍もない大冒険をしたことがある」らしい。どんな大冒険だろう。「催眠術にかかったとか、精神がどこかを彷徨ったとかそんな類の話ではない。正真正銘の物理的大冒険の話だ」というではありませんか。ワクワク。それは、「近所に架かる橋の下にあばら家を作り住んでいた……おっちゃん」のせいなのだ。その「おっちゃん」が「僕」を……。確かに、「大冒険」にはちがいない。でも、ちょっと説得力がなかったかな。

応募要項
課 題

■第12回 [ 休暇 ]

ゴールデンウィークは終わりましたが、仕事や勉強ばかりじゃいけません。たまには休まなくちゃね。

■第13回 [ あの日 ]

誰にでも、特別な「あの日」っていうのがあるんじゃないでしょうか。大切な人との思い出の日、二度と戻って来ない日、どうしても忘れたくない日、忘れたい日。そんな特別な「あの日」のことを書いてみてください。

締 切

■第12回 [ 休暇 ] 
7/1 ~ 7/31(消印有効)
■第13回 [ あの日 ] 
8/1 ~ 8/31(消印有効)

規定枚数

A4判400字詰換算5枚厳守。ワープロ原稿可。
用紙は横使い、文字は縦書き。

応募方法

郵送の場合は、原稿のほか、コピー1部を同封。作品には表紙をつけ(枚数外)、表紙にはタイトル、氏名を明記。別紙に〒住所、氏名(ペンネームの場合は本名も)、電話番号、メールアドレスを明記し、原稿と一緒にホッチキスで右上を綴じる。ノンブル(ページ番号)をふること。コピー原稿には別紙は不要。作品は折らないこと。作品の返却は不可。

※WEB応募の場合も作品には表紙をつけ、タイトルと氏名(ペンネームの場合はペンネームのみ)を記入すること。

応募条件

未発表オリジナル作品とし、最優秀賞作品の著作権は公募ガイド社に帰属。
応募者には、弊社から公募やイベントに関する情報をお知らせする場合があります。

発 表

第12回・10/15、公募ガイドONLINE上
第13回・11/15、公募ガイドONLINE上

最優秀賞1編=Amazonギフト券1万円分
佳作7編=記念品
選外佳作=WEB掲載

※最優秀賞の商品券はAmazonギフト券に変更となりました。

応募先

● WEB応募
上記応募フォームから応募。
● 郵送で応募
〒105-8475(住所不要) 公募ガイド編集部
「第〇回小説でもどうぞ」係

お問い合わせ先

不明点は、公募ガイド社「小説でもどうぞ」担当までお問い合わせください。
ten@koubo.co.jp


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受講料 5,500円

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