二次創作の魅力に迫る! コミケ92

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2017.08.14

二次創作の魅力に迫る

叶姉妹のサークル初参加によって、大いに盛り上がったコミケ92。わたしたち編集部も、2日目に乗り込みました。目的は小説のコーナー。

実はわたしたち、コミケの魅力も二次創作の楽しさも、全然わかっていませんでした。というか、それを知りたくて今回初めてコミケを取材しました。

サークルの方々に突撃取材だったのですが、皆さん快く対応してくださり、二次創作への熱い思いを語ってくださいました。オリジナルから転向して二次創作を始めたとか、修行の一つとして書いているとか、きっかけや目的は人それぞれでしたが、共通して皆さん楽しそうでした。

さらに、番外編としてコミケを支えるスタッフの方々にもお話を伺いました。彼らの思いを知り、コミケが大好きになりました。

【サークル名】Horizont 【P.N.】もるげんれえてさん

――同人活動をされて何年目ですか?

3年です。サークルで参加しています。

――どうして二次創作を趣味にされているのでしょう?

高校生の頃は文芸部に所属していました。大学に入ってプロになりたいと思いはじめ、修行の場として二次創作の世界を選んだんです。 そしたら意外に面白くて、どっぷりハマっちゃいました(笑)。

――二次創作のどんなところが面白いですか?

キャラ設定や世界観は、すでに原作で決まっています。だから僕たちは、物語の部分に手を加えることになります。 自分は何かと何かを掛け合わせるのが好きで、「このキャラとこのキャラを絡めたらどうなるんだろう?」「このエピソードをこんなふうに描いてみたら?」なんてことをよく考えます。 そういったことを表現していくのが楽しいですね。

――作品作りで大変なことはありますか?

やっぱり校正が大変です。誤字脱字がないよう注意していますが、普段は大学に通っているので、時間との戦いになることもあります。テストと締切がかぶった時なんかは、「どうしよう……」って(笑)。 なので、作品ができてイベントに来てくれた人に手に取ってもらえたときは嬉しいですね。

 

【サークル名】すももの子 【P.N.】田上―(たがみ はじめ)さん

――同人活動をされて何年目ですか?

もう20年になりますかね。コミケが有明に移った最初の年から参加しています。

――同人活動を始めたきっかけは?

もともと漫画や小説が好きだったんです。それで友人がコミケを教えてくれました。 表紙も自分で作るんですが、私、絵が描けないんです。PhotoshopもIllustratorも使えない。だから表紙もWordで作っちゃうんです。フリー素材をダウンロードして、Wordにはめこんで。 困ったら友人たちに泣きつくんですが、「いい加減フォトショくらい覚えろ」って怒られます(笑)。

――同人誌を作っていて辛いことはありますか?

締切が辛い(笑)。仕事をしながらなので、時間に限りがありますし。しかも私の場合、早期入稿して印刷代を早割したいタイプなので(笑)。 だいたい2か月前から原稿を書き始めて、締切1か月前には入稿できるように計算しています。だから、自分のスイッチが入らなくて言葉が浮かばないときは大変です。イベント参加は決まっている。締切も迫ってくる。「やばい!」って焦りますね。

――逆に楽しいことは何でしょう? 

がんばって作った作品が本になってイベントに出したとき、感想をもらえるとすごく嬉しいです。自分の考えが受け入れられたんだって感じます。 同じ作品を愛する人たちと友達になれるのも、楽しいですね。

 

【サークル名】揚げ浜しお 【P.N.】もち米ユウタさん

――本日は何回目のコミケですか?

実は初参加なんです。pixivなどネットでは活動していたのですが、コミケは初めてです。友達が同人誌をやっていたので、自分も作ってみようかなと思いまして。

――初コミケのご感想は?

売れ行きや反応など心配だったんですが、予想以上に手に取ってもらえて嬉しいですね。

――作品はどんなふうに作っていますか?

原作にはない「もしもこんな話があったら」っていうのを考えるのが好きで、思いついたらあとはもう勢いで書いちゃいます。今回の作品も2週間で書き上げました。 誤字脱字があるんじゃないか、表記はまちがっていないかなど、最後にチェックするのが大変でしたが、そのノリや勢いが楽しいんです。

 

【サークル名】くらんちたいむ! 【P.N.】kamiさん

――二次創作を趣味にされているのは何故でしょう?

こうして二次創作を形にしてイベントに参加すると、ファン同士で直接交流ができます。ネットだけでなくリアルにその人に会えて、感想も聞くことができる。 「Twitterでフォローしている〇〇です~」「リアルでは、はじめまして~」とかって感じで。それが楽しいですね。

――同人誌を作るのにどれぐらいの時間がかかりますか?

今回の同人誌は4ヵ月で作りました。小説本なので、表紙を描いてくださる絵師さん、装丁してくださるデザイナーさんなども自分で探します。pixivやTwitterで、いいなあと思う人にお願いするんです。 10人にフラれて、11人目でOKをいただくという感じです(笑)。そこからまた交渉して、依頼料なども自分たちで決めていきました。

――この同人作家さん上手いなあ、と思うのはどういう所でしょうか?

突き抜けた部分がある作家さんに魅力を感じます。一点特化型というのかな。キャラの動かし方がうまいとか、アイデアが面白いとか。作品に作家さんらしさが出ている人はすごいですね。 そういう同人誌を読んで価値観を発見するのが面白いです。Twitterだとすごく真面目な性格に見える人が、めっちゃ笑えるギャグを書いたり、虫も殺さなさそうな人が、エグイ話を書いたりする(笑)。 本を通して、人が見えてくるんですよね。

 

【サークル名】んぱにか倶楽部 【P.N.】和蔦まりのさん

――同人活動をされて何年目ですか?

何年だろう……もう20年以上になりますかね。晴海会場時代の最後の頃から参加しています。

――どうしてそんなに長く活動されているのでしょう?

やっぱり、原作が好きだからです。私が好きな原作は歴史ファンタジー。長い時間を扱った壮大なストーリーなので、エピソードとエピソードの間が飛んでいたりするんです。その空白の時間にどんな物語が存在したのか、自分なりに考えていくのが楽しいですね。

――作品作りで苦労されることはありますか?

私は書きたいシーンが浮かんだら書き始めるタイプ。プロットなどは立てずに、直接書いていきます。だからその前後を埋めるのが大変で。起承転結の「転」は思い浮かんでいるのに、「起、承、結」が思いつかない!って感じです。 半年かかっても筆が進まないときがあります。逆にノっているときは3日で仕上げちゃう(笑)。

――ご自身にとってコミケとは何でしょう?

うーん、その雰囲気が楽しいというか。自分一人ではなく、みんなで作っていくという感じ。自分が思いつかないアイデアを持っていて、それを表現している人に出会うとすごいなって思います。

まだまだある二次創作・コミケの魅力!

・最初は一次創作(オリジナル)を作っていたんですが、二次創作の面白さに気づきました。原作の設定があるという縛りの中で創作をするのが面白いです。

・あえてマイナーなジャンルで同人誌を作るのが楽しい。だんだんサークル数が増えていくと嬉しくなります。

・原作を読んだときの「こういう展開の裏で、こんなことがあったかもしれない」と想像し、形にするのが楽しい。それを同人誌にして「こうだったらいいよねー!」と叫びたいんだと思います(笑)。

・言葉選びがうまい人、フラグの回収、物語の流れにセンスがある人はすごいと思います。

・私にとってコミケとは共通した趣味の人同士の交流の場。自分の「好き」を試す場所です。

スタッフさんに聞きました! なぜスタッフをやろうと思ったのですか?

20代男性 Sさん

――スタッフとして参加されて何年ですか?

4年になります。はじめは一般参加だったんですが、しだいにコミケの中のことを知りたくなって。

――何日参加されていますか?

前日準備も合わせて4日間フルで出ています。仕事内容は、作家さんの登録受付の取りまとめです。作家さんたちの思いをどう汲み取るかを大事にしています。

――スタッフの魅力って何でしょうか?

コミケを広い視野で見ることができるところ。でも一番楽しいのは、前日の会場準備ですね。何もない広い空間が、徐々に会場として作られていく。3時間ぐらいで出来上がるんですが、わくわくします。

 

20代女性 Kさん

――コミケに参加されて何年ですか?

サークルとしては6~7年前から参加しています。スタッフとしては5年ぐらいです。3日間のうち1日をサークルとして、2日間をスタッフとして参加しています。

――お仕事の内容を教えてください。

見本誌のチェックと混雑時の対応です。一般参加のときは自分の好きなものしか見ていなかったんですが、スタッフになって「こんなジャンルもあるんだ~」と知ることができて嬉しいですね。

――スタッフになったきっかけは何だったのでしょう?

スタッフの人たちが、コミケで何も起きないように、安全に気を配っているのは、次のコミケを開催するためだと聞いたんです。次も開催できるように、このコミケを無事運営する。その思いに賛同して、スタッフをやっています。


 

皆さんのお話を聞いて、二次創作の魅力が少しずつわかってきました。

原作への愛が想像力を刺激し、「存在したかもしれない」ストーリーや、「ありえないけど、見てみたい」シーンが次々と生まれてくるんですね。

そして、コミケをはじめとするイベントでは参加者みんなが仲間で、直接交流できることがモチベーションにつながっている。その熱いエネルギーを感じました。

創作って楽しい。

冬のコミケもぜひ取材したいです!

畑 美雪 (はた みゆき)

フリーライター、公募ガイド編集部スタッフ。神奈川県在住。インタビュー、取材記事などを手掛ける一方、脚本、作詞、小説なども執筆。コミケには10代の頃から出入りしており、自他ともに認めるどうしようもないオタク。同人誌はシリアス、ギャグ、BL、男性向けと一通りたしなんだ。会う人、会う人に「湘南ガール系フリーライターなんですよ~w」とイタい発言を繰り返すが、残念ながらまもなく40歳をむかえる。