-
金の星賞(大賞)
図書カード10万円分、賢治...「セミのぬけがら」 山木晴香(大阪府)
-
作品講評
-
■石野 晶・・・・・
入院生活の詳細な描写が見事です。主人公の心情が細やかに書かれていて、辛さや苦しさが伝わってきました。闘病ものだから、最後は悲しい結末になるのかなと、覚悟して読み進めましたが、予想を裏切られました。最後の部分の生きたい、生きている、という主人公の言葉がとても胸に残ります。
■牛崎 敏哉・・・・・
中学校の制服を一度も着ることなく、血液の病気で入院することとなった理音の物語。セミのぬけがらを通して、三年間の闘病生活が描写されていく。構成が完璧で、過不足ない文章で、真正面から死と向き合った作品であるため、ノンフィクションかと思わせるリアルさに言葉をなくしてしまった。
■夏井 敬雄・・・・・
骨髄移植で入院している少女。その少女が生と死の瀬戸際でセミになる。すると、物語は不自由な闘病生活から自由な時間旅行に一転し、少女はいくつもの夏の時間を行き来しながら、「生きる」ことを強く願うようになる。「未来の夏に生きている、わたしになりたい」という主人公のことばに強く心を打たれた。時間旅行の中で、「命」の意味をいくつも重ねたうえで、「生きる」ということばに結びつけたところに感動が生まれたと思う。
■やえがし なおこ・・・・・
難病の主人公は、死線をさまようクライマックスでセミとなって、夏を巡る追憶の旅に出ます。様々な夏の日々を巡るうちに、主人公の胸に「生きたい」という強い思いがわき起こり、主人公を生へと導きます。難病を扱った物語は、ともすると安易なものになってしまいますが、「生きたい」と願う場面が圧巻で、強く引きつけられました。希望の光で美しく輝く物語です。
-
新着公募情報
はお気に入り登録された件数です。
〆切ジャンルタイトル