公募 一次選考通過マニュアル一次選考通過マニュアル

エンタメ系の文学賞に何回応募しても、一次選考で落ちてしまう」
とお悩みのあなたに、一次選考の要点と
落とされやすいポイントを紹介します!
監修/若桜木 虔(公募スクール講師)
イラスト/柏原 昇店

▼選考する人

編集者・若手作家・ライターなど

▼通過人数

文学賞によって違うが、応募作品の約9割が一次選考で落とされるといわれている。

文学賞は一次選考を通過するだけでも、ものすごく難しい。通過できる人数は少なく、再デビューをねらう作家がライバルになることもある。本気で一次選考通過や入賞をねらうなら、きちんと戦略を練って作品をつくることが必須だ。

一次選考で落とされやすい
ポイント3つ

一次選考の採点方法は減点法といわれている。
最低限クリア―したいポイントが次の3つ。
自分の作品を良い例の「〇」、
悪い例の「△」と比べてみよう。

第一印象のよい作品は、一次選考でも圧倒的に有利だ。物語の冒頭にインパクトがあれば、選考委員の心をぐっと引きつけられる。

食事風景や、どこかへの移動中など、冒頭シーンに変化がなくただの人物紹介になっている作品は多い。これだとインパクトが少なく、一次選考を通過することは難しい。

食事シーンで始めるのなら、いきなり火事が起きたり、店内で爆発物が発見されたりするくらいのインパクトを持たせよう。

セリフはキャラクターを表すのにとても重要だ。ただの挨拶や、相手の言葉をオウム返しするだけのセリフでは性格がわかりづらく、キャラクターが立たない。挨拶をするにしても、キャラクターが立つセリフに変えよう。また、主要登場人物には、しっかりとセリフをしゃべらせるべき。無口な性格設定ではキャラクターを立てるのが難しく、一次選考ではどうしても不利になる。

A「インスタントラーメンくらい、まともに作れるようになれよ」
B「まずくてごめん」

この会話はAがBを叱っている場面として成り立っているが、BのセリフからBのキャラクター性は見えてこない。セリフを読めばどんな性格のキャラクターなのかがわかるように書き換えた方がよい。

A「インスタントラーメンくらい、まともに作れるようになれよ」
B「世界一まずいラーメン作れるっていうのも、才能だと思うけどな」

Bのセリフが軽口に変わっている。この会話からはBが軽口をたたくような人物であることや、軽口を許容できる程度には二人が親しい関係だとわかる。

ストーリーが盛り上がるかどうかは、ピンチの設定にかかってくる。「主人公が困る→考えて行動を起こす→ピンチを切り抜ける」。この連続でスリリングな展開を演出するのだが、簡単に乗り越えられるピンチでは、盛り上がらないどころか、白けてしまう可能性もある。主人公をいかに困らせるかが一次選考突破の鍵となる。

陸上競技の大会の10日前にけがをした主人公。けがは全治1週間

全治1週間なら、主人公はけがを治してから大会に出ることができる。「大会まで練習ができない」、「病み上がりで本調子でない」くらいの障害では「ピンチ」とは言えない。

陸上競技の大会の10日前にけがをした主人公。けがは全治1カ月

主人公はけがをしたまま大会に出るか、出場をあきらめるか選択しなければならない。出ると決めても、家族や友人が主人公を止めるかもしれない。このけがは主人公が「ピンチ」に陥る障害として機能している。

監修

若桜木 虔(わかさき・けん)

小説家。『公募ガイド』誌上で18年にわたって連載を担当。NHK文化センター、よみうりカルチャー(町田市)で小説講座の講師を務める。若桜木虔名義で約300冊、霧島那智名義で約200冊の著書がある。『修善寺・紅葉の誘拐ライン』が文藝春秋2004年傑作ミステリー第9位にランクイン)。

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