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Chapter2 小説と映像化

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小説と映像化

商品としての小説

テレビもラジオもなく、流通も出版も今ほどは発達していなかった明治・大正の頃の文壇は、読者に向かってではなく身近な仲間に向かって書くサロン文学に近かった。


ところが、戦後は出版部数が多くなり、読者の反響が評価となる。すると、自分のためだけに書くことはできなくなり、「私小説は死んだ」(小林秀雄)ということになる。


その意味では、現在はすべての文学に商品性があるわけだが、その度合いを示せば、図3のようになる。

 


商品性の少ない順に見ていくと、純文学、中間小説、エンターテインメント小説となろう。


もちろん、話を分かりやすくするためにざっくりと図式化したものではある。戦前に書かれた純文学でありながら、結果的によく売れているものもあれば、エンターテインメント小説として書かれながら、図らずも深い文学性を内包してしまう場合もある。


それ以前に純文学とエンターテインメント小説にどれほどの違いがあるか不明だが、そのあたりは便宜的なものだと思っていただきたい。

際立ったウリが不可欠

文学作品も市場に置けば商品だが、商品であればウリが必要であり、小説の場合、それはより多くの人の心を動かせる内容かということになる。そのような小説はよく売れ、売れれば映画化、ドラマ化されたりもする。

 

 表1 本屋大賞 歴代受賞作

第1回(2004年) 1位 博士の愛した数式 小川洋子
2位 クライマーズ・ハイ 横山秀夫
第2回(2005年) 1位 夜のピクニック 恩田陸
2位 明日の記憶 荻原浩
第3回(2006年) 1位 東京タワー リリー・フランキー
2位 サウスバウンド 奥田英朗
第4回(2007年) 1位 一瞬の風になれ 佐藤多佳子
2位 夜は短し歩けよ乙女 森見登美彦
第5回(2008年) 1位 ゴールデンスランバー 伊坂幸太郎
2位 サクリファイス 近藤史恵
第6回(2009年) 1位 告白 湊かなえ
2位 のぼうの城 和田竜
第7回(2010年) 1位 天地明察 冲方丁
2位 神様のカルテ 夏川草介
第8回(2011年)

1位 謎解きはディナーのあとで 東川篤哉
2位 ふがいない僕は空を見た 窪美澄

 


表1は、歴代の「本屋大賞」1位、2位に輝いた作品だが、1位に限らず、第6回までの上位作品はほぼすべてが映画化、ドラマ化されている(第7回以降も映像化されることは確実)。

 

 表2 映画化された(予定含む)主な小説

2012年 のぼうの城(和田竜)
2011年 神様のカルテ(夏川草介)
日輪の遺産(浅田次郎)
軽蔑(中上健次)
豆腐小僧双六道中ふりだし(京極夏彦)
八日目の蝉(角田光代)
プリンセス・トヨトミ(万城目学)
阪急電車(有川浩)
まほろ駅前多田便利軒(三浦しをん)
ジーン・ワルツ(海堂尊)
妻に捧げた1778話(眉村卓)
白夜行(東野圭吾)
2010年 ノルウェイの森(村上春樹)
インシテミル(米澤穂信)
悪人(吉田修一)
東京島(桐野夏生)
カラフル(森絵都)
食堂かたつむり(小川糸)
チーム・バチスタの栄光(海堂尊)

 


表2は、この1年に映画化(予定含む)された主な小説だが、こちらも話題作、ヒット作ばかりで、「おもしろそう」と思わせるウリがある。
逆に言うと、新人賞応募時には選外だった作品でも、何か大きなウリがああると映画化されることもある。たとえば、日本ホラー小説大賞選外の『バトル・ロワイヤル』(高見広春)、「このミステリーがすごい!」大賞 選外の『そのケータイはXX(エクスクロス)』(上甲宣之)とか。


また、ポプラ社小説大賞選外の『食堂かたつむり』(小川糸)、江戸川乱歩賞選外の『リング』(鈴木光司)という例もあり(『リング』は最終選考でも高評価だったが、推理小説ではないと判定された)、受賞は逃しても編集者が拾ってくれることがある。


ただし、設定やキャラクターが際立っていないと印象にも残らず、すぐに忘れられて埋もれることになる。

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