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interview ここしかない!と運命のようなものを感じた

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綾崎 隼さんにお聞きしました。
ここしかない!と運命のようなものを感じた

――まず、応募先に電撃小説大賞を選んだ理由についてお聞かせください。

綾崎 どこに送っていいのかわからず、とにかくあらゆる受賞作を読んでみました。そのなかで一番面白かったのが、当時の電撃ゲーム小説大賞受賞作である有川浩さんの『塩の街』。読者としては、いわゆる一般文芸を好んで読んでいたのですが、それでもマンガやアニメも好きでしたので、電撃が自分の小説に合っているんじゃないかと思ったんです。

――けれども、最初の応募では落選。

綾崎 ええ、一次選考にも引っかからず落ちました。七年前のことですね。電撃にはその翌年も出しましたが、結果を得られなくて。なぜ認めてもらえないんだろうと自問しながら応募作を読み返したところ、送り先はライトノベルの賞じゃないなと気づいたんです。そこで一般文芸の賞に目を向けてみたものの、どうしてもキャラクター性に富んだ小説を書きたかったから葛藤が起こって、本当にもうどの賞に応募していいのやら、ずっと頭を抱えていました。

――そんなときに、電撃小説大賞の一部門として、メディアワークス文庫賞が新設。こちらは一般文芸を対象にしていました。

綾崎 電撃大賞が大人向けの小説を刊行するということで、もうここしかない!と運命のようなものを感じて応募したら選考委員奨励賞をいただき、メディアワークス文庫でデビューすることができました。

――受賞作にしてデビュー作の『蒼空時雨』は構成が巧みです。いい意味で読者の期待を裏切りますね。

綾崎 物語は恋愛を軸にして進みますが、読み手としては伏線があって最後にカタルシスを得られるようなミステリーが好みなんです。それゆえ、トリックや構成で楽しませたいという願望が反映されるのだと思います。

――そうした小説技法は、書きながら自然と習得されたんですか。

綾崎 ノウハウ本から小説の書き方を学んだこともなければ、作家養成塾に通った経験もありません。小説は中学生のころに書きはじめてから趣味で続けていて、大学を卒業してまもなく賞に応募するようになって、落選を繰り返していくうちに、反省を通して、効果的な書き方を学習していったのだと思います。

――とはいえ、章ごとに語り手を替えるのは、手練手管に長けていないとできない気がします。

綾崎 むかし書いていた小説は、いわゆる神の視点から見下ろすようなかたちで、複数の登場人物を三人称で語っていました。ところが、これがどうにもうまくいかない。何がいけないのか理由を探っていたときに、話が散漫で、感情移入の余地を著しく狭くしていることに気付いたんです。それからは一人称の小説を書くことにしました。たとえ章ごとに語り手を替えて複雑な構成を編んだとしても、絶対に視点をぶらさない。そんなふうに縛りを設けて取り組みました。

――デビュー前は、有川浩さんの『塩の街』のような大きな世界を描こうと挑戦されていたそうですね。

綾崎 はい。この世の崩壊というドラマチックな物語のなかに、男女の恋愛模様を織り込む。いつかはそういった壮大な話を書きたいですが、現状、今の僕にその技量はありません。身の丈に合った話のほうがいいと判断して『蒼空時雨』を書きましたし、次作『ノーブルチルドレンの残酷』は高校生を主人公にした現代物。でも、いつか理想に手が届くような作家になりたいと思っています。

 

 

聞き手 佐藤克成

プロフィール
1981年生まれ。新潟県出身。第16回電撃小説大賞『選考委員奨励賞』を受賞。応募作『蒼空時雨』でメディアワークス文庫よりデビュー。同作は舞台化され、7月より上演される。6月25日に、最新刊『ノーブルチルドレンの残酷』を発売。

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