PARTICIPATORY TEXTILE宇部の素材を使い、子どもたちと作る「みんなの織物」

2018.11.22

イタリア出身でノルウェー在住のエレナ・レデリー(Elena Redaelli)さんが取り組むのは「PARTICIPATORY TEXTILE(パーティシペトリー テキスタイル) みんなの織物」。宇部で集めた素材を使って、市内の小学生といっしょに制作するインスタレーション作品です。全3回にわたりその様子をレポートしていきます。

レポーター:田中真理子さん
(山口大学 教育学研究科 美術教育専修・大学院1年)

油絵を中心に、その時に注目した材料用いた立体・インスタレーション・写真などを作品にしています。その中では、例えば古代の人間の生き方からインスピレーションを受けて「自然や動物と人間の関わり」や「自分自身の過去や現在、未来のこと」を考えながら制作しています。

その土地の素材を活かした作品のエレナさん

これまでにもハンガリー・ドイツ・エストニア・オーストラリア・中国など、さまざまな国で、地域のひとたちとアート作品を作ってきた彼女は、地域からリサイクル素材や自然素材を集めることを大切にしています。屋外で作品を制作・展示するときに、自然の素材を使いずっと置いておくことによって朽ちていくのが好きだそう。

エレナさんが織物をし始めたのは、子どものころから。「祖母や叔母の影響で織物を作っていて、その間、家族の女性たちがあつまっているというのが記憶にあり、今でも織物をすると家に帰ったような気分になるんです」とのこと。織物など、手作業をしていると人はゆっくりとした時間を過ごし、色々なことを考え、人間の脳を働かせることができると同時に、人と人が話したり助け合ったりして繋がることができるとエレナさんは言います。

ときわ湖水ホールで制作作業中のエレナさん

 

宇部で注目したのは、海苔養殖の漁網!

高いテクノロジーのことばかり話題にあがる今の世の中で、手作業の織物など、昔のテクニックは時間がかかり、その技術は忘れられていることもあるけれども、その中には大切なことがあり学ぶことがたくさんあると話していました。作品制作を通して、そのような昔のテクニックを使ったり伝えたりすることによって忘れられた技術に声を与えたいそう。

そんなエレナさんが宇部で注目した素材は、海苔の養殖で使われていた色とりどりの漁網や、中山間地域に自生する竹。それに、子どもたちの古着を材料とし、海をイメージした大きなインスタレーション作品の制作が始まりました。

 

色とりどりの漁網。その理由を聞いても、漁師さんごとに言う内容が違ったのだとか…

 

今回の作品の素材の中心となったのは、海苔の生産で使われていた漁網。「捨てられていたので50枚くらい貰ってきました。一枚ずつ洗う作業はもちろん大変ですが、楽しくもありました」と笑う姿も印象的です。

ワークショップでは子供たちに、海や海苔が成長していく過程を伝え、それを元に考えながら、織物を作っていきます。作品制作を通じ、子供たちがそのような背景を知ることも大切だ、とエレナさんは話していました。

 

ワークショップの後に子どもたちと

 

作品の完成イメージは、制作中に何度も変化しているとも言います。それは、人と触れ合うワークショップの参加者とのコラボレーションによる作品であり、素材とのふれあいを通して変わっているから。自分だけではなく、ほかの人の表現が組み合わせられることが、エレナさんにとって重要なことであるからだそうです。

網など、その土地の素材を繋いで、文化と人を繋いで、人と人を繋いでいく、素敵な作品になりそうです。

Archive