PARTICIPATORY TEXTILE過程を重視したワークショップがエレナ流?

2019.01.14

イタリア出身でノルウェー在住のエレナ・レデリー(Elena Redaelli)さんが取り組むのは「PARTICIPATORY TEXTILE(パーティシペトリー テキスタイル) みんなの織物」。宇部で集めた素材を使って、市内の小学生といっしょに制作するインスタレーション作品です。

2回目の今回は、現地の子どもたちとワークショップで制作をする様子をお伝えします。

レポーター:田中真理子さん
(山口大学 教育学研究科 美術教育専修・大学院1年)

油絵を中心に、その時に注目した材料用いた立体・インスタレーション・写真などを作品にしています。その中では、例えば古代の人間の生き方からインスピレーションを受けて「自然や動物と人間の関わり」や「自分自身の過去や現在、未来のこと」を考えながら制作しています。

いきなり作り始めるのではなく…

ワークショップショップの会場に始めて入った時に思ったことは、網・糸・服・竹などいろいろな道具や材料が並んでいて、ワクワクするような空間だということ。 まずは、1つのテーブルを囲んで、エレナさんのお話が始まりました。

それもいきなり海苔の説明するのではなく、「おにぎりに何を巻く?」と聞いたり、「何に使う網かな?」と子どもたちとのかけ合いから始めることで、空気がどんどんと和らいでいくのを感じ、最初は緊張が見えた子どもたちの表情がどんどんと明るくなっていきました。

中でも一番反応していたのは、海苔の赤ちゃんを顕微鏡で撮影した写真。わたしもその姿に自然と引き込まれていました。

・宇部では昔からの伝統的な方法で海苔が作られていること ・海苔がたくさん重なった網のレイヤーの中で育つこと ・海苔の赤ちゃんはつぶつぶしたものの集合体であること

エレナさんは「海苔が育っていく過程のように、みんなの一つひとつの作品を集めて作りたいんだ」ということを、ていねいに子どもたちに伝えていました。

 

まずはドローイングでイメージをつかんで!

次に、海苔が育つ場所である“海”をテーマにしたドローイングが始まります。ここでも驚いたのは、ある程度描き進めて時間が経つと、それを隣の人に渡していき、受け取ったものにどんどん自分で描き足していくという手法。これを何度も繰り返すことで、他の人の考えていることとミックスされていき、考えが小さい枠で収まらず広がっていくのだと気づきました。

ドローイング中も「海に行ったら何をする?」などの話を交えながら、ざまざまな海の生き物・海藻・波や空の様子など、バリエーション豊かな絵がどんどん生まれていきました。

 

さあ、実際に作ってみよう

ドローイングを通して海についてのイメージがたくさん浮かんだところで、いよいよ作品の制作へ!エレナさんが来日前から興味を持っていたという、市北部に自生する竹で作った丸い枠をベースに、市内であつめた古着を使ったり、海苔の網を使ったり。それぞれで感じた海を作りはじめます。

手が止まった時には、エレナさんが声をかけて手伝うという形がとても自然で、それでいて強く指示することはなく…。子どもたちが目の前の作品にじっくり集中する空間がとてもあたたかかったのが印象的で、小さな手で時間をかけて、自分たちが思う海を作っていきました。

 

とある小さな女の子の話

特にわたしの目に留まったのは、教わった鎖編みで竹の輪の一周まるごと編み込むまで手を止めず、黙々と進めていたある女の子。そのお父さんも話しかけることなく、ただじっと見守っていました。

後でその親子も話を聞くと、お父さんは「口出しないほうがいいと感じていて、どんなふう出来るのか楽しみに見ていた。」と言います。女の子は「難しかった。」という感想の後に「楽しかったし、嬉しい。」と答えてくれました。彼女にとってこの時間は、鎖編みを知って、難しいながらもチャレンジするという、とても新鮮な時間だったのが分かりました。

 

エレナのワークショップ

ていねいに鎖編みされた、少女の作品

 

この他にも、参加していた親子たちは共同で作っていたり、見守っていたりなど、それぞれにとてもいい雰囲気で制作しており、見ていてあたたかい気持ちになる時間でした。

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